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昔の作品系エッセイ−11

実験小説・自己完結くん

1999年2月19日執筆

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 日が落ちて、もうどれくらい経っただろうか。
 淡い光を放つ三等星が、煙のような細い雲に隠れていく。
「あたしね……」
 隣を歩いている男が、砂浜に打ち上げられていた木を踏んだのをきっかけに、洋子が口を開いた。
「高橋君の気持ちは嬉しいけど、やっぱり、その気持ちには応えられない……」
 その言葉に覆いかぶさるよう、さざ波の音が二人の耳に響く。
「でも、あたし……」
 洋子がそのまま言葉を続けようとすると、高橋は彼女の目の前に立ち塞がり、こうまくし立てた。

「ああ、もうわかった。俺と友達として付き合っていきたいんだろ? いい言葉だよね、友達。でも、どうせ携帯に電話すりゃ留守電サービス直行だよ。遊びに行く約束すりゃ、ドタキャン。それに文句を言えば『彼氏でもないのに、なんでそんなこと言えるの?』。じゃあ、おまえは彼氏に死ねって言われたら、死ねるのかよ。あとさ、気持ちに応えるとか応えないとかじゃなくて、単に趣味じゃないってことだろ? どの辺が趣味じゃない? あ、やっぱ顔だろうな、だいたいわかってる。顔が趣味じゃないっていいづらいよね。言ったら、めちゃくちゃ高飛車で性格悪そうだからさ。でも、ほんとのところそうなんだよね。断り文句だけ綺麗にして誤魔化そうとしたって、むかつくだけなんだよ。素直に言えばいいじゃん、あんたの容姿が好みじゃないってさ。あ、今おまえが思っていることわかる。そういうひねくれた性格が嫌だとか、そんなこと言うから嫌だって言うんだろ? 断る理由が浮かんできて嬉々としている心理が、手に取るようにわかるよ。でも、そうなら最初から言えば? だいたい、あなたのこと、まだよく知らないからとか言うわりに、そういう性格が嫌だって変だよな。悪い点を指摘出来るぐらいわかってんじゃん。まあね、こうなったからには気まずいだろうね。気まずいまま、友達とかいう生殺し関係に落ち着くのはまっぴらごめんだからさ、俺帰るわ。今日の話は、これから携帯で友達に報告する手筈になっているんだろうけど、言いたきゃ言っていいよ。『高橋が告白してきてぇ、きゃははは、マジマジ』ってな。そんじゃ。おまえから避けてくると思うけど、俺もおまえを避けるから。道で会っても顔逸らしてOK。バイ」

 こうして、高橋は砂浜を後にした。

 −完−

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