メールフレンド 第89回

Subject: わからない
  Date: Sun, 3 Dec 2000 20:41:36 +0900
  From: "Jiro Izawa" <izawaji@mb.cyber.ne.jp>
   To: "めぐ" <m-megu@planet.thi.ne.jp>


 めぐへ

 昨日 うちに長野県警の刑事が来た。パックのことをいろいろ聞か

れたよ。でも ネット上だけの付き合いだったし 個人的なメールの

やり取りもなかったから答えようがなかった。

 ネットの人間関係って希薄だ。メールフレンド なんて言葉はいい

けど 一カ月 いや二週間もメールを出さなければ簡単に自然消滅し

てしまう。

 ネット恋愛だって どちらかがパソコンのスイッチを押さなければ

それで終わり。メールアドレスは知っていても電話番号を知らない 

ハンドルは知っているけど本名は知らない 加入しているプロバイダ

の名前はわかっているけど住所はわからない。俺は めぐ以外 誰の

ことも知らない。

 ネット上の友達 恋人なんていうのは幻想なのかもしれない。友達

もどき 恋人もどきというのが正しいのかもしれない。

 実際 俺はとーやからパックが死んだことを知らされても涙を流せ

なかった。人の死をこんなにも軽く受け止めてしまった自分に驚いた。

いくら個人的なつき合いがなくたって メールであんなに言葉を交わ

し合っていたのに。

 教授がいなくなり きょうこがメーリングリストを去っても 心配

はしたけど探そうとは思えなかった。警察に行ったのだって 自分と

めぐの安全を確保したかったからだ。


 とーや 教授 パック パーマン きょうこは 俺にとってのなん

なんだろう。

 そんなこともわからないのに 俺はなんでネットにつないでいるん

だろう。

 俺にとって ネットっていうのはなんなんだろう。



                            JIRO

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