かなり以前の話――多分、8年ぐらい前――になるが、日記かなにかで『バーチャルネットアイドル・ちゆ12歳』の名前を出したときに、「工藤さん、ちゆのこと知っているんですね」というメッセージを掲示板でいただいた。
これは書き込んだ人が私を流行に疎いと思っていたと揶揄したのではなく、「お互いに縁がなさそうだ」ということをいいたかったのだと思う。実際にそうで、面識もなければメールのやりとりをしたこともない。というか、そもそもちゆの作者さんが私を知っているかどうかがわからない。
あの頃、テキストサイトと呼ばれる界隈には派閥のようなものがあったと思う。子供の頃、市町村が運営しているようなグラウンドで友達と遊んでいるとき、よく顔を合わせたが、別学年、別の学校の生徒なので一度も話すことがなかったグループがいたなあという思い出がある人は多いのではないだろうか。私からすると当時のテキストサイト界隈の関係はまさにあんな感じだった。似たような場所にいるので多少意識はするが、自分たちとはまったく違うオーラを放っていてとても絡める感じじゃない。
なので明らかに世代が違い、侍魂とかろじっくぱらだいすとか、そういう巨大な別グループの中の一人だと思っていた『かまくら』の雪男さんから「『テキストサイト大全』という本を出すので協力していただけませんか」というような丁寧なメールをもらったときは大変驚いたとともに新鮮な感動があった。
少し脱線したが、以上の理由から往年のテキストサイトをガイドするということになると、選者がどの辺にいたかで対象がある程度決まってしまう。
テキストサイトアーカイブは、世代の違い、感性の違い、その辺は考えないようにして、客観的に見て評価されていたと考えられるサイトを取り上げて優れた記事を並べるのが目標だ。難しいとは思うが、いろいろな人の力を借りて成し遂げたい。
私は正直いって、テキストサイトの熱心な読者とはいえず、今、テキストサイトアーカイブに上がっているサイトでよく読んでいるの呉さんのサイトだけしかない。よく読んでいた、好きだったという人たちがお気に入りの記事を挙げていってくれれば(Twitterで私に呟いてくれるだけでも)本当にありがたいなと思う。
最後に、今思えば、同じ時代に似たようなことをやっていた者同士、違いを超えて、一回ぐらい飲み会でもやっておけばよかったなあと。