2010-7-09 Friday

野球の実況で、素人は絶対口にしてしまうけど、プロのアナウンサーは口にしないある言葉(追記あり)

 もう相当昔の話になるが、日本テレビで放送された番組で『スポーツ実況を志望する新人アナウンサーが現場研修を受ける』みたいなコーナーがあった。研修の内容は東京ドーム内のスタジオに先輩アナウンサーと入り、放送はしないものの実際に巨人戦の実況を行うというもの。新人アナウンサーは誰か忘れたが、先輩アナウンサーは小川光明アナウンサーだったと記憶している。

 新人アナウンサーは緊張気味に、それでもなんとか実況をこなしていたが、巨人の誰かが外野フライを打ち上げたとき、彼が発した一言に小川アナが厳しい口調で駄目出しをした。

「『これは』という言葉は使うな」

 新人アナウンサーはフライが上がったとき、「これは……」と口にした。彼に限らず、ピッチャーがボールを投げれば「これはストライク」、バッターが打てば「これは入りました、ホームラン」など、野球を実況しろといわれたらボールの動向を見てまず出てしまう言葉だろう。新人アナウンサーも「え、そうなんですか」という感じで驚いていたと思う。
 で、どうして「これは」という言葉が駄目なのか、それを小川アナが説明していたかどうかは忘れてしまったのだが、その後、テレビで試合を見ている限り、局に関係なく確かにアナウンサーたちは「これは」といわないのだ。この約束事を知って以降、常に頭の片隅に置いて見ているので、もし口にしたら「あ、いった」と即気づくのだが、皆無とはいわないがまずあまり聞かない。NHK辺りだと聞いた記憶がない。「本当か?」と疑う人は、暇なときにでもNHKで放送される午前中のメジャーリーグ中継か、夜のプロ野球中継を一試合通して見てほしい。

 ちなみにMLB.jpというサイトではイチローのいるシアトル・マリナーズ、松井秀喜のいるロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムの試合の中継を行っていて、実況をMLB.jpのスタッフらしき人たちが行っているのだが「これは」をいいまくりである。彼らが、バッターが打つたびに「これは」と口にするのを聞いていると、「やっぱり、反射的にいっちゃうよなあ」と頷き、それを抑えるプロのアナウンサーの凄さを改めて思い知るのである。

[7月9日追記]

 今日、TBSの野球中継を聞き耳立てて見ていたら、一打席につき一回ぐらいいってました。本当にNHKでは使わないのか、民放とNHKで使用頻度に本当に差があるのか、明日10日、BSで放送されるヤンキース対マリナーズとフジテレビで放送される中日対巨人で検証します。

[7月20日追記]

 あれから更に見(聞き)所を例のポイント一つに絞って地上波、地方局の高校野球中継、BSなど、いろいろな局の野球中継を見てみましたが、民放、NHKに関係なく、口にする人はしてるんですよね。NHKのアナウンサーでも一打席に一回ぐらい口にしている人もいました。『野球の実況で、素人は絶対口にしてしまうけど、プロのアナウンサーは口にしないある言葉』の内容は、長らく、放送で例の言葉が出ていない部分が頭の中で膨らんでいたためバイアスが掛かって偏りがあったと思います。未検証のままアップしてしまい、その結果、現状とは異なる不正確な認識を広めてしまったことを深くお詫びします。本当に申し訳ありませんでした。
 改めて、

 小川光明(元)アナウンサーが新人アナウンサーに「『これは』という言葉は使うな」といっていたことは間違いないが、このルールがどういう範囲で適用されているかは不明で、各局のアナウンサーの選択もまちまちである。また、民放、NHKでの差も存在しない。

 件のコラムの内容を以上のように訂正させていただきます。

posted by kudok @   | Permalink

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