2011-7-05 Tuesday

人気ブロガーを待ち受けている次の10年での現実

 どんな世界でもそうだと思うが、影響力を保つには二つの方法があると私は考えている。一つは定期的に自分が何者であるかを証明すること。作家であれば売れる本を出す、俳優であれば当たり役を演じる、ネットであればブックマークを多数集め、リツイートされるブログを書く、あるいは優れたコードを書くということになるだろうか。
 もう一つは、影響力を持っている人間になんらかの方法を使って尊敬され続けることだ。この方法はいわゆる“政治的な影響力”がなくても可能である。昔作ったものを勝手に評価してもらえれば成立する。今、みんなに凄いと思われている人間に評価されれば、彼のファンにも「○○さんが認めている人なんだから、(現在、特筆すべきものは作ってないように見えるけど)凄い人なんだよ」と自動的に尊敬される、という風になる。

 土台がインターネットにある人は、前者のやり方で影響力を保つのは非常にきついと思う。ネットは流行り廃りのサイクルが短い上に、常に話題になる文章を書ける人というのはまず存在しないからだ。テキストサイト運営者がいい例だと言いたいが、ブロガーもあまり変わらない気がする。長らく人気ブロガーと呼ばれる人の中には、出世作とも言える強烈な印象を与える記事を書いている人がいるが、その記事に匹敵する記事を彼らは最近書いただろうかと考えると正直出てこない。これは単純に私の観測範囲が狭いからということも考えられるが、多分、他の人に聞いても似たような感想を述べるだろう。
 しかし、彼らの多くはツイッターでのフォロワー数を見ればわかるように彼らの界隈の中では現在も影響力を保てている。なぜかと言えば、現在大きな影響力を持っている人間に影響力を発揮できている、つまり前記の二つの方法の中で後者の方法を使えているからだ。
 ここで言う「人間」は「世代」に置き換えてもいいかもしれない。なんだかんだ言って、テキストサイトが今でも地味に話題になるのは、ツイッターなどのネットツールを積極的に使う世代にある程度の影響力を保てているからだろう。テキストサイトブームがちょうど10年前、読者の下限が高校生から大学生だったとすると、彼らの年齢は現在27歳から32歳ぐらいになる。まだ独身の人も多そうな世代で時間もお金もある程度余裕があり、ネットで発信する情報に事欠かないという感じがする。

 しかし、次の10年ではどうだろう。西暦2021年、彼らは37歳から42歳ぐらいになる。その頃も、今のように積極的にツールを使って情報を発信してくれるだろうか。「懐かしい」と言いながら読んでいたテキストサイトの名前を羅列してくれるだろうか。現在、人気ブロガーたちが影響力を保っている年齢層の下限がテキストサイトのそれよりも5歳若いとして、その彼らは10年後、32歳から37歳だ。これも微妙な年齢と言える。きっと彼らはその頃、ネットで一番影響力を持っている世代ではないだろう。ということは、彼らより下の世代に今よりも影響力を与えられなくなる。必然的に、突き抜けた記事を書かなくなって久しいであろう人気ブロガーたちが「○○さんが認めている人なんだから、凄い人なんだよ」と思われることも少なくなると考えられる。
 今、人気ブロガーたちのツイッターでのアカウントをフォローする人は大勢いる。しかし10年後、おそらくブログでもツイッターでもフェイスブックでもないなにかがもっとも人気のある情報発信ツールとなっているであろう未来、“自分が何者であるかを証明し続けられない”三十代から五十代の人間たちのアカウントを、もっともアクティブに活動している二十代の世代が仲介なしにどれだけフォローしようと思うだろうか。

 後出しになるが、私はツイッターやSNSでの社交的な活動は“自分が何者であるかの証明”にはならないと思う。そこでのフォロワーをそのまま次、あるいはそのまた次のなにかに連れて行けるのは、世代やコネクションを越えて自分が何者であるかを証明し続けられる人だけだろう。
 となると、人気ブロガーは、次の10年でも影響力を保ち続けたいのならば、どこかで自分が何者なのかを改めて証明する必要がある。だが、ツイッターなどでのフォロワー数に眩惑されて新たな世代へのアピールを行わなかった場合、次の10年は彼らにとってつらい10年になるだろう。

posted by kudok @   | Permalink

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