2012-3-29 Thursday

2ちゃんねるがなくなったら、すぐに2ちゃんねるのようなものが出来るのか

 当サイトは今日で開設から14年と10カ月ぐらい経つが、『2ちゃんねる』という名前を記したのは今回が初めてだと思う。

 最近、新聞社のサイトで2ちゃんねるのきな臭い話題をちょくちょく見るようになった。で、この手の話題が出ると、

2chが潰れても、また2chのようなサイトが出来るだけ

 というコメントが付くのがお約束だ。投稿意図について思うところはあるが、今回の話とは関係ないので触れないようにする。

 今回書きたいのは、この記事のタイトルにあるように、本当に2ちゃんねるがなくなったら、すぐに2ちゃんねるのようなものが出来るのかということだ。私は、以前まではそうだろうなと思っていた。しかし、最近になって、難しいのではと思うようになってきた。

 語弊を恐れずに言えば、2ちゃんねるにはたくさんの信用がある。信用というのは、たとえば、

  • 明日突然アクセス出来なくなることはないだろう(運営の金銭的、精神的な部分での信用含む)
  • 大きなニュースが流れたので、たくさんの人が感想を書き込んでいるだろう
  • 有名会社の製品についてのスレッドがあるだろう

 といったことである。好き嫌いはとりあえず置いといて、こういった信用の積み重ねが膨大なユーザを定着させたのだと思う。特に、あそこに行けば人がいる、大抵の話題のスレッドがあるという信用は大きい。

 では、仮に2ちゃんねるがなくなったとして、誰かが立ち上げる2ちゃんねるの受け皿を目指した掲示板(以下、新2ちゃんねる)にはこのような信用があるだろうかというと、スタート時点では当然ない。仮に大企業が始めたとしても、Googleのサービスで、ユーザがまったく増えずになくなったものがたくさんあることをみんな知っているので同じことである。
 でも、最初に信用なんかなくても大きくなったサービスはたくさんあるだろうと思われる方もいるだろうが、そういったサービスは、往々にして、ある世界の中では革新的なサービスだったというケースが多い。mixiしかり、Twitterしかりだ。つまり、以前のサービスというものがないので、ユーザは全員、そのサービスが提供する空気感を初めて体験する。こういう場合はスタート時点の信用はあまり必要ない。まずアーリーアダプタが入り、著名人や文化人が入り、芸能人や企業が入って、信用が後付けされる。
 しかし、新2ちゃんねるは、2ちゃんねるという世界を体験したユーザを受け入れることになる。ユーザは最初に2ちゃんねると比較する。ところが新2ちゃんねるは(繰り返しになるが)、

  • 明日突然アクセス出来なくなることはないだろう
  • 大きなニュースが流れたので、たくさんの人が感想を書き込んでいるだろう
  • 有名会社の製品についてのスレッドがあるだろう

 といった点での信用がまったくない。付け加えるなら、管理者が「純粋な気持ちで2ちゃんねるの受け皿を作りました!」と言っても、それがいきなり多くの人に信用されるとは思えない。管理人はいろいろな意味で探られ、2ちゃんねるの管理人と比較されるだろう。したがって、当然、最初は様子見というユーザがほとんどということになる。
 加えて、複数の新2ちゃんねるが立ち上がったらユーザは分散するので、帰属意識を持ってくれるユーザの確保に相当な時間がかかるはずだ。一定数のユーザを確保出来るまでは、大きなニュースが流れたら、必ず多数の書き込みがあるという信用は得られないままだ。これはおそらく負のスパイラルになる。

 この状態から、同規模、同内容(空気感)という意味で“2chのようなサイト”は出来るだろうか? 私は無理だと思う。では、2ちゃんねるにいる膨大な匿名ユーザはどこに行くのかという疑問が湧くが、匿名での発言が楽しいのではなく、人がいるところで発言するのが楽しい、そこが今まではたまたま匿名掲示板だったということなら、案外、てんでばらばらに既存の場所に軸足を移す、ということで収まるのではないだろうか。

 唯一、“2chのようなサイト”が出来る可能性として、現在、2ちゃんねるを運営している人が2ちゃんねるをなくして後継サイトを作るというのがあると思うが、新しく作るぐらいなら残すだろうし、閉鎖という決断をしてすぐに別のサイトを立ち上げるというのは考えづらいように思う。

posted by kudok @   | Permalink

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