第14回 独りで行けるもん(2/3)
サイト掲載日 1999年9月1日 エッセイ
男が余っている今、独りが熱い
独りで行けるもん(第二回)
今回のチャレンジ 独りボウリング
独りで来たと告げた時の店員の反応
- 「お一人様でございますか?」
時間と費用
- 25分で1800円(ゲーム代1350円、貸し靴300円、ジュース150円)
自分の他に、独りで来ている人
- 見あたらず
スポーツをするとき、私は人が大勢いないと燃えないタイプだ。そんな私が独りボウリングをしたらどうなるのか。どうしようもないほどの虚しさを覚えるのではないだろうか。
ボウリング場到着後、その不安が一挙に増幅された。独りで行けるもん、どころじゃない。私一人しか客がいないのだ。
人間観察すら出来ない、こんな状況でどう遊べばいいんだろう、しかし来ちゃったものはしょうがないと、貸し靴を持ちながら、指定された30番レーンへ行った。
左右すべてのレーン(全部で36レーン)、誰もいない。数十台のモニターには同じミュージックビデオが映っている。キューブリックの近未来予測映画に出てきそうな、絵になる光景だ。
「30番レーンのお客様、ただいま係りの者が調整を行います。しばらくお待ち下さい」
(ああ、俺がこんな企画さえ始めなきゃ、朝の11時に調整することもなかったんだろうに)
大変申し訳なく思いながら、椅子に腰掛けた。
――そして20分後。私はかなりの爽快感を感じながら、帰路に就いた。独りボウリング、これは大ヒットである。以下、その理由。
- ハイスコアを出すことが出来る
ボールを取っては投げ、取っては投げの状態で、私はまさにマシーンと化した。座るのがめんどくさいので立ちっぱなし。正直、今までボウリングをやって息切れしたことはなかったが、今回だけはさすがにきつかった。
しかし、3ゲーム目に初の200オーバー「215」を記録。人がいないため、一定のテンポで投げられたこと、集中力を最後まで維持出来たことが新記録達成の大きな要因だろう。
ゲーム進行のスピードにも注目
- 運動になる
「ハイスコアを~」の所にも書いてあるが、とにかく疲れる。つまり運動になる。気のせいだと思うが、球の戻りが複数の人間でプレイしている時よりも早く感じられ、休んでいる暇がない。
- 意外と寂しくない
テンポよくゲームが進むため、余計なこと(例えば、俺って寂しい人間、など)を考えなくて済む。正直、カラオケでは選曲時や間奏時(俺、なんか無駄なことしているんじゃないか?)という疑問を感じたが、今回、それは一切なかった。
気持ちも思った以上に高まり、3ゲーム目では度重なるストライクに軽いながらも自然とガッツポーズが出た。
《まとめ》
ハイスコアを出したいという時だけでなく、ストレスを発散したい時や悩みを忘れたいという時にも、独りボウリングはお勧めである。純粋にすっきり出来る。
受け付け時の従業員の対応から独りで来る客はあまりいないと思えたが、「俺(あたし)は今度行われる(かもしれない)、職場(またはサークル)対抗ボウリング大会の練習に来たんだ」という適当な理由を持てば、それほどプレッシャーを感じることはない。また、平日の早い時間に行ける方は、是非、その時間に行ってほしい。自分独りしか客がいないボウリング場で、かつて経験したことのない、幻想的な気分を味わうことが出来るだろう。