第2回 正論の王国

サイト掲載日 1997年11月4日 エッセイ

 お約束とか定番というものを無視してみたらどうなるのだろう、というかなりありがちな話です。15年ぐらい前に書きました。


 さて、「今でもこのページで通用するかもしれない、数年前の作品」第一弾である。
 タイトルは『正論の王国』。いかにもこのページ向けのタイトルだ。
 とりあえず、早速読んでいただくとしよう。

 栄華を極めた徳川幕府も経済的に苦しくなってきた江戸時代中期。北町奉行、遠山金四郎が悪い奴の取り調べをしていた。
「御奉行さま、本当です。私、あの人たちに殺されそうになったんです。信じて下さい!」
 町娘、お絹は目に涙を浮かべて言った。
「証拠がねえんだよ、証拠が。わっはははは」
 悪い奴の中でも一番悪い、呉服問屋『大白屋』の用心棒、先生(名前不詳)がチンピラ衆を巻き込んで笑いながら言った。
「そうだ、金さんが見ているはずです。金さんが私を助けてくれたんです」
 金四郎の目つきが変わった。
「金さん……とな」
「はい」
 大白屋の主人が鼻で笑った。
「ふ、なにを馬鹿なことを。第一、金さんなんてどこにもいないじゃないか」
「そうだ、そうだ!」
「金さんとやらを出してみろーっ!」
 金四郎はふうっと溜め息をついた。
「……うるせえなぁ、悪党。そんなに会いたきゃ、会わしてやるぜ。昨日の晩、三日月の夜空の下で咲いた桜吹雪、目ぇ開けてよおく見ろいっ!」
 チャーチャーチャチャチャチャーチャー(効果音)。
「この見事に咲いた桜吹雪、知らねえとは言わせねえぞ!」
「知りません」
「……」
「……」
「……知らないの?」
「はい」

 おわり

 以上である。ようは、ドラマや漫画の都合のよさを取っ払って、正論で話を進めていったらどうなるか、というのを淡々と書くというものなのであるが、当時、ブレーンの友人には評判が悪く、
「当たり前のことを当たり前に書いただけで、なにが面白いのか」
 と書かれたのだが、私はやっぱり面白い。最後、鼻で笑える。
 ちなみに第一回は、「ドラゴンボール」に関しての正論を書いた。内容は、物語初期の段階の悟空の前に、いきなりフリーザが現れてあっという間に地球滅亡というものだった。これはなかなかうけたのだが……。

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