第9回 似非天然ボケ女性

サイト掲載日 1998年6月10日 エッセイ

 まず、「天然ボケ」という性格に似非とか本物とかあるのかという問題ですが、周りからいつもそういう風に紹介される人、自ら進んで言う人は、「わたしは天然ボケ」という思いが強くなってしまい、その思いに従って行動する場合もあるのではないかと考えられるので、似非か本物かと言えば、やや似非寄りじゃないかなあと。
 男性がその場にいない、そもそも誰もその人のことを見ていないという状況で天然ボケと言われる行動を繰り返す人がいたら、その人は本物かもしれません。もし、そんな人を偶然街で見かけたら、やっぱり萌えるでしょう。


 会ったことのない人間が来る飲み会などに参加すると、10人に1人の割合で世間の常識を超越したような女の子が来る。擬音で例えると、「ぽわ~ん」としたタイプだ。世間で言う、「天然ぼけの女の子」というのがこのタイプに当たる。
 ところが、この「天然」が食わせものなのだ。
 本当に天然なら私も別に言うことはないのだが、明らかに男ウケを狙ってボケた振りをする女がいる。だいたいこういう女性は、その言動を見ていれば似非天然であることがわかるので、これから具体例を挙げてチェックしていこう。

 まず喋り方だが、独特の巻き舌発音を駆使し、
「優子(仮名)ね、夜になるとすぐに眠くなっちゃうの。……もう眠くなっちゃった(ちなみに、時間は夜の8時)」
 という感じで、文節で言葉を区切るたび、眠そうに頷くというのが特徴だ。これは男の保護本能を刺激しようとしての言動だと思われる。
 次にこういった女性の傾向として、場の注目を一身に浴びたいという気持ちが強いということが挙げられる。例えば、話題が自分にとってまったく興味のないものに移ると、突然、

……今、テーブルの上を象さんが走っていった

 というような、(薬物中毒か?)と思わせるほど、意味不明な言葉をぽろりと言うことで、周囲の感心を集めようとするのだ。
 もし本当に見えたのなら、明日にでも病院へ行くことを勧めるが、もちろん、そんなことはあり得ない。
 そして、こういった女性がボウリング場へ来ると、当然、ボウルにきちんと指を入れて投げるなんてことはしない。
 それではどう投げるのか。
 まず、ボウルは両手で持つ。感じとしては、湯飲みを持つカラクリ人形といったところだろう。
 続いて助走だが、歩幅20センチほどの、とぼとぼとした助走を取る。まともな助走など教えても絶対しない。
 そしてボールを投げるのだが、投げるというよりも、落とすといった方が的確だろう。真下に、ぼとっと落とし、ボウルが時速3キロほどで進んでいくのを見つめている。ちなみに、ここまでの一連の動作において、言葉は発しない。
 恐らく、無気力にスポーツをやることが可愛らしいと思っているのではないだろうか。

 私はこういう女性のどこがいいのかさっぱりわからないのだが、好きな人は好きらしく、わりと男性受けするタイプである。
 しかし、私はこれら一連の言動がどうしても納得いかないので、

おい、あんた、キャラクター作ってんだろ?

 と、酒が入っていれば堂々と指摘をする。
 ところが、こういう女性は動じない。しばらく、口をぽかーんと開けた後、わからないというように、かすれ気味の声でこう言い放つ。

へ?

 敢えて「え?」と言わないことで、彼女のキャラはより引き立ち、取り巻きの男たちはより一層、彼女の虜となるのである。
 自分に暗示をかけてキャラクターを作るタイプは、まさに無敵だ。

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