身の回りの出来事系エッセイ-39 運動会での出来事

1998年8月21日執筆


 今日、スーパーの広告に「花火セット」が載せられているのを見て、15年以上昔のことを思い出した。

 あの日は快晴だった。確か10月ぐらいだったと思う。
 うちの近くには小学校が2つあるのだが、そのうちの1つで地域の運動会が開かれることになった。
 今では参加者激減ですっかり色褪せたこのイベントも、当時は近所の大人や子供会に入っている子供たちが我先にと集まるような大イベントだった。
 いちいち回覧板が回ってきて、参加希望の種目に丸を付けるようになっており、賞品もそれなりに豪華。私もリレーに参加したりして、楽しんでいた。

 開会式。

「それではぁ 花火を打ち上げま~す」
 スピーカーから、役員の気の抜けた声が聞こえてくる。開会の合図となる花火をどかーんと打ち上げようということらしい。去年までは音だけの花火を打ち上げていたのだが、今回は盛大に昼間から打ち上げ花火を炸裂させるという、まさに地域役員の威信をかけたものだ。
 大人たちが袋からこの日のために購入した花火玉を出す。今までにない準備のため、いろいろと手間取っていたが、会場はやんややんやの大歓声が巻き起こる。
「それじゃ火をつけまーす!」
 花火セット係の大人がようやくセットし終わった花火玉に火を点け、逃げるように走った。みんな期待していた。青い空に、何色もの光が輝くことを。

 そして1秒後。
 花火玉から赤い煙が噴出した。

 煙幕だった。

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