ネット話系エッセイ-16 相棒

2000年7月7日執筆


 ここの所、ずっと疑問に思っていることがある。
 たとえば、こんな日記があったとしよう。

参考資料 日記作者のプロフィール

名前 ようこ
生年月日 1975年11月20生まれ
趣味 テニス、スキー、ガーデニング、音楽鑑賞
好きなアーティスト 平井堅、小柳ゆき、倉木麻衣
最近凝っていること 中学時代の友達と遊ぶ
使っているパソコン iMac

日記

 今日は彼氏に連れられて渋谷のまんだらけっていう所に行ってきました。う~ん、初めて来た所だけどまんががたくさんあって結構面白いかも。漫画家さんの原稿なんかもあるし。
 彼がトイレット博士っていう変な漫画を全巻購入したのを見届けた後、喫茶店でお茶しました。

 これはこれで普通(トイレット博士全巻購入を除けば)である。特におかしい所はない。だが、同じ話題を「2次元系創作物が好きな女性」が書くと、明らかに変わる言葉がある。

参考資料 日記作者のプロフィール

名前 五月女眞世(さおとめ まよ)
生年月日 1975年11月20生まれ
趣味 まんがを描くこと
好きなアニメ 彼氏彼女の事情、忍たま乱太郎、るろうに剣心、
スラムダンク・・・古いのばっかり(^_^;
好きな漫画 今はヒカルの碁♪
好きなゲーム アンジェリーク、ファイナルファンタジーシリーズ♪
使っているパソコン GATEWAY(新しいの欲しい・・・)

日記

 今日は相棒に連れられて渋谷のまんだらけに行ってきました(苦笑)。う~ん、何度も来ているけど相変わらず濃いかも(汗;)。だけど知らないまんがとかがたくさんあってやっぱり面白い。漫画家さんの原稿なんかもあるし(^^)。
 相棒がトイレット博士を全巻購入したのを見届けた後(笑)、喫茶店でお茶しました☆

 気づいていただけだろうか。

」という呼び名が「相棒」に変化していることに。

 今日は彼氏に連れられて渋谷のまんだらけっていう所に行ってきました。
 今日は相棒に連れられて渋谷のまんだらけに行ってきました(苦笑)。

 もう、かなりの確率で二次元創作物好きの女性はネット上で恋人を相棒(相方や同居人という場合もある)と呼んでいる。なぜ彼ではなく相棒と呼ぶのか。照れくさいのか。恥ずかしいのか。それとも他に特別な理由があるのか。
 ちなみに、相棒という言葉を広辞苑で引くと、

  1. 一つの駕籠(カゴ)や畚(モツコ)などを一緒にかつぐ相手の者。相肩。
  2. ともに事をする人。なかま。

 とある。ともに事(SEX)をする仲間という意味で考えれば、相棒でもいいような気がするが、彼女たちの性格、言動から、本当にこんな意味合いで使っているとは考えられない。

 私生活で「ねえ、相棒」と呼んでいるということはないだろうから(私が彼女からそんな風に呼ばれたら、愛情の存在を疑うに違いない)ネットでだけ「相棒(相方、同居人)」と呼んでいるんだろう。
 ホームページ上に「ダ~リンがぁ、あたしにぃ、キスしてくれてぇ」なんて書いたら、どこかの掲示板に

 逝ってよし!

 などと、最近、ネットで流行の一言と共にリンクを張られる確率が高いが、「彼」や「彼氏」という呼び方は別に嫌みじゃないし、問題ないような気がする。

 それではなぜ使うのか。鍵は、ネットで顕著な、「同一趣味を持った人同士による言葉(表現)の統一化」だと思う。
 顔文字や括弧文字、ここ最近なら、多少自虐を入れる時に書く「ぐはっ……」などがその風潮で使われている言葉だ。
 ここから先はまったくの推測だが、「相棒」という呼び方も、ネットでどこかの誰か(二次元創作物好き)が効果的に使い、そのどこかの誰かのセンスに同調していた女性がまた使い、その女性のセンスに同調した女性が……と広まっていったのではないだろうか。
 二次元創作物好き女性で、目立ちたがり、自己主張が強い人というのはそれほど多くはない気がする(特に言葉において)。異性関係についても、ねー、聞いて聞いて、あたしの彼がね……というのではなく、「最近、彼氏とどうなの?」と聞かれてやっと答えるという風な感じを受ける。
 相棒という、ちょっとドライな呼び方は、そうした性格にぴったりとはまるものなんだと思う。他の人間に自分たちの愛情をひけらかすことはない。二人だけで感じられればいい。
 そういうことなのではないだろうか。

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