ネット話系エッセイ-4 σ(^^)
1998年1月23日執筆
以前にも書いたことがあるが、私は顔文字を使うことに対して、最初はかなり抵抗があった。
通信というものに対する、ネットワーカーのイメージというのは、「顔文字を使用することに抵抗がない人」と「顔文字を使用することに抵抗がある人」で180度違ってくると思う。
後者の人たちの場合、顔文字の使用=典型的なネットワーカー=オタクっぽいと関連づけている節があり、自分たちは感情を表すマークまで駆使して、コンピューターネットワークに対し、能動的に向かい合いたくないという考え方も持っているのではないかと思う。
そういう人たちからすれば、通信という世界は、自分の意識に壁を作らないと向かい合えないもの、という感じだろう
まあ、この辺は人それぞれの考え方があるから、一様にこうだとは断言出来ないと思うが、私の推測は当たらずとも遠からずと言ったところではないだろうか。
さて、最初は顔文字に抵抗があった私も、その時の感情を、文章よりも遥かに容易に表せるマークとして徐々に使いだした。うまく使えばまったく嫌みではないし、堅い文章も軟らかくなる。
とは言え、(^-^) (--;) を使うのが精一杯で (^^; (*^-^*) の使用には依然として抵抗を感じた。
だが、そのうちこれらのマークも使い出し、抵抗を感じる顔文字はないと思い始めた矢先。
どうにも釈然としない顔文字を発見した。
σ(^^)
である。
これは「僕」「私」の代わりに文章にはめ込むものなのだが、出だしで一回使うのならまだしも、何度も使われると、なんか、納得がいかないというか、妙な引っかかりを覚えた。
例えば、下記のようなナンパメール(寒いギャグ入り)があったとしよう。
こんにちは。僕は23歳の大学生です。趣味はDJかな。あ、DJと言っても元オリックスの野球選手じゃありません(自爆)。
僕が今回、ひとみさんにメールを出したのは、ホームページに載っている写真が実に可愛いと思ったからなんです。かなり僕の好みっていうか……僕のタイプです(*^-^*)
僕はホームページとか作ったことないんですが、ひとみさんの作ったホームページはほんとに見やすくて綺麗だなと思います。きっと、実物のひとみさんもさぞかし綺麗なんでしょうね(*^-^*)
もしよろしければ、一度僕と会っていただけませんか?
僕はスキーが好きなので(洒落ではありません(^^;)、ザウスとかに一緒に行けたらいいな(^-^)
それでは、お返事お待ちしています。
これだったら、特になんとも思うことないのだが、この文章中の「僕」を「σ(^^)」
にしてみると、なんとなくイライラしてくる。
こんにちは。σ(^^)は23歳の大学生です。趣味はDJかな。あ、DJと言っても元オリックスの野球選手じゃありません(自爆)。ちなみσ(^^)は、イチローにちょっと似てるって言われたことあります(^^;
σ(^^)が今回、ひとみさんにメールを出したのは、ホームページに載っている写真が実に可愛いと思ったからなんです。かなりσ(^^)の好みっていうか……σ(^^)のタイプです(*^-^*)
σ(^^)はホームページとか作ったことないんですが、ひとみさんの作ったホームページはほんとに見やすくて綺麗だなと思います。きっと、実物のひとみさんもさぞかし綺麗なんでしょうね(*^-^*)
もしよろしければ、一度σ(^^)と会っていただけませんか?
σ(^^)はスキーが好きなので(洒落ではありません(^^;)、ザウスとかに一緒に行ったり出来たらいいな(^-^)
それでは、お返事お待ちしております。
実に不思議だ。なぜ「僕」を「σ(^^)」に変えると、こうまで、なにかもやもやしたものが胸の中を駆け巡るのだろうか。
そう言えば、小学生の頃、恩師の梨田先生(仮名)がこう怒ったことがある。
「いちいち、自分を指さすなっ!!」
と。
この発言に至った経緯はこうだ。
先生
「それじゃ145ページ誰かに読んでもらおうか。えーと……じゃあ神崎(仮名)」
神崎君
「σ(・・?)」←(俺? と言いたい)
先生
「145ページの3行目、かさこじぞうは、から」
神崎君
「σ(・・?)」
先生
「神崎っておまえしかいないだろ」
神崎君
「σ(・・?)」
先生
「ほら、早く立って読め!」
神崎君
「σ(・・?)」
先生
「おまえしかいないだろっ!」
神崎君
「σ(・・?)」
先生
「そうだよ!!!」
神崎君
「σ(・・?)」
そしてキレた先生が、前出の言葉で怒鳴ったと……。
ようは、茶化された気分になったのだろう。いちいち自分を指さすというのは、あまりいい態度ではない。
顔文字に関しては、ほんとに人それぞれ考え方はあると思うが、見ているだけでもやもやしたものを感じる人も多いだろうし、出来るだけアクセント的に使った方がいいのかもしれない。