昔の作品系エッセイ-4 湘南物語「手紙」

1997年11月6日執筆


 私のホームページの2枚看板というと、『ZEROの法則』と『湘南物語』であると思う。
 このどちらも、元はと言えば、ニフティサーブ恋愛フォーラムにある、某会議室から始まった。
 枚方公園さんという、非常に面白い独白を書かれる方がいらして(『好きです、お話がしたい』と書かれている手紙が来たり、電話で告白されたりするのだが、その最後の最後に、相手に『じゃあ電話して下さい。番号は0990の……』と言われるというオチで終わるダイヤルQ2ネタが白眉)、その人の書き込みを読んで、触発されて書き始めたのが『湘南物語 ある高校生の青い文通』である。元々、自伝という形で高校生の時から書いていた文章を手直ししてアップしていたため、連載は比較的楽だった。
 しかし、実は、この湘南物語には幻の第一作目があるのである。フォーラムの方では、会議室に私の文章が載るたびにわざわざダウンロードしていてくれた方たちもいたようだが、この第一作目は恐らく誰も読んでさえいないのではないだろうか。
 まさに幻。
 こういう、未発表の幻の第一作目というのは、大抵つまらないというオチがあるのだが、とりあえず読んでいただきたいと思う。400字詰め原稿用紙1枚分ほどの小品である。

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(12) 96/05/28 00:55

小学校3年の時だった。同じクラスに大好きな子がいて、いつも彼女のことを目で追っていた。でも、彼女には仲がいい男子がおり、私はその二人の中には入れなかった。
しかし、ある日のこと、奇跡が起こったのか、彼女が私に手紙をくれた。なんだか、複雑な折り方をしていたが、私はその手紙を持ち、休み時間、走って音楽室へ行った。
「ここだったら一人だ」
顔が熱くなっていくのが自分でもわかった。心臓の音が聞こえた。
私は紙を開き、見た。しかし、何も書かれていない。というより、また中に紙が入っていた。そして、その紙も変な風に折られている。私はその紙を震える手で開いた。
だが、開くとまた紙が出てきた。
結局何回開いただろうか。
最後の一枚になった。
開いた。

ごみが出てきた。

 という作品である。
 この最初の作品をもって、私は書き込みをやめようと思っていたのだが、これをたまたま読んだ友人の岩崎千尋さん(仮名)に誉められ、「もっと書いてよ」と言われて書き始めたのが「青い文通」なのである。
 結局その後、「文通」、「チョコ」と筆を進め、ホームページを開くようになったのだから人生はわからない。私はそれまで、母が亡くなったショックで完全に筆を折っていたのだから……。

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