第1回目の法則 忙しい人はずっと忙しい


シチュエーション

 会社の同僚で社内ではそれなりに会話するものの、二人きりで出掛けたことはない。男は現在の煮え切らない関係に終止符を打つために、東京ウォーカー片手に彼女の家に電話をかけた……。


「あ、もしもし高橋ですけど」

「え、高橋さんですか? どうしたの?」

「うん、今、平気?」

「大丈夫だけど、どうしたの?」

「えーとさ、この間、新宿ジョイポリスのチケット、友達からもらってさ」←本当は自分で購入

「へえ……」

「あの、一緒にどうかなぁと思って……」

「……え、あたしが高橋さんと一緒にってこと?」

「うん」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……いつ?」

「えっと、来週の日曜日とか」

「ああごめん、来週の日曜はちょっと忙しいから……」

「え、じゃあ、再来週の土曜日は?」

「うーん、ちょっと無理かもしれない……」

「日曜日は……?」

「……日曜……日もちょっと忙しいから……」

「来月とかは?」

「来月もなんかいろいろ予定入っちゃって忙しいと思う……」

「じゃあ、再来月は?」

「再来月は試験とかあるし、なんかいろいろ用事が入るかもしれないし、忙しくなりそうだから……」

「……冬休みは?」

「多分、スキーに行くと思うから……忙しいかも……」

「来年は……?」

「資格試験があるから、やっぱり忙しいと思う……」

「じゃ……明日、ファミレスで飯でも食わない?」

「明日も忙しくて……」

「……」

「……」

「……」

「っていうか、今もちょっと忙しいから……」

「……ああ」←撃沈

「じゃあ」

 このパターンは男性の方ならよく経験のあるパターンだろう。多分この調子で行くと、死ぬまで忙しいと言われると思われる。
 これは単純に言うと「行きたくない」わけなのだが、誘っている方はそうは思いたくなくて、本当に忙しいんだと思い込み、かえって墓穴を掘ることとはよくあることだ。
 客観的に見れば断り文句だとすぐわかっても、当事者になるとどうしてもそれがわからなくなる。男性は「なんでそんなに忙しいんだ、飯を一緒に食べる時間ぐらい、その気になれば作れるだろ!!」と逆上するわけであるが、その気になれないから作らないという大事なことを忘れがちだ。

 似たようなパターンで「お金がないから」というのが挙げられるが、この場合も大抵の場合、断り文句だと思っていいだろう。お金があろうがなかろうが、会いたい人に誘われればなんとか都合つけてくるものだからだ。

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