第1回目の法則 忙しい人はずっと忙しい
シチュエーション
会社の同僚で社内ではそれなりに会話するものの、二人きりで出掛けたことはない。男は現在の煮え切らない関係に終止符を打つために、東京ウォーカー片手に彼女の家に電話をかけた……。
男
「あ、もしもし高橋ですけど」
女
「え、高橋さんですか? どうしたの?」
男
「うん、今、平気?」
女
「大丈夫だけど、どうしたの?」
男
「えーとさ、この間、新宿ジョイポリスのチケット、友達からもらってさ」←本当は自分で購入
女
「へえ……」
男
「あの、一緒にどうかなぁと思って……」
女
「……え、あたしが高橋さんと一緒にってこと?」
男
「うん」
女
「……」
男
「……」
女
「……」
男
「……」
女
「……いつ?」
男
「えっと、来週の日曜日とか」
女
「ああごめん、来週の日曜はちょっと忙しいから……」
男
「え、じゃあ、再来週の土曜日は?」
女
「うーん、ちょっと無理かもしれない……」
男
「日曜日は……?」
女
「……日曜……日もちょっと忙しいから……」
男
「来月とかは?」
女
「来月もなんかいろいろ予定入っちゃって忙しいと思う……」
男
「じゃあ、再来月は?」
女
「再来月は試験とかあるし、なんかいろいろ用事が入るかもしれないし、忙しくなりそうだから……」
男
「……冬休みは?」
女
「多分、スキーに行くと思うから……忙しいかも……」
男
「来年は……?」
女
「資格試験があるから、やっぱり忙しいと思う……」
男
「じゃ……明日、ファミレスで飯でも食わない?」
女
「明日も忙しくて……」
男
「……」
女
「……」
男
「……」
女
「っていうか、今もちょっと忙しいから……」
男
「……ああ」←撃沈
女
「じゃあ」
このパターンは男性の方ならよく経験のあるパターンだろう。多分この調子で行くと、死ぬまで忙しいと言われると思われる。
これは単純に言うと「行きたくない」わけなのだが、誘っている方はそうは思いたくなくて、本当に忙しいんだと思い込み、かえって墓穴を掘ることとはよくあることだ。
客観的に見れば断り文句だとすぐわかっても、当事者になるとどうしてもそれがわからなくなる。男性は「なんでそんなに忙しいんだ、飯を一緒に食べる時間ぐらい、その気になれば作れるだろ!!」と逆上するわけであるが、その気になれないから作らないという大事なことを忘れがちだ。
似たようなパターンで「お金がないから」というのが挙げられるが、この場合も大抵の場合、断り文句だと思っていいだろう。お金があろうがなかろうが、会いたい人に誘われればなんとか都合つけてくるものだからだ。