第2回目の法則 以前は親しかった女の子なのに、久しぶりに電話すると話し方が敬語になっている


シチュエーション

 某ハンバーガーショップに勤めている男(21歳・大学生)と女(19歳・短大生)。二人はバイト先で知り合って4カ月。男はそれとなく、プレゼントをあげたりして女に好意を見せている。何度かガストなどで食事をしたことはあるが、遠出をしたことはない。
 男はここで一歩前進しようと、「ゆっくり遊べる遊園地ガイド」を片手に女の家に電話をかけた……。


「ねえ、美紀ちゃん(←ちゃん付けで呼べるようになったのは1カ月前)、今度、横浜ドリームランドに行かない? 友達からただ券もらったんだ」

「え、行きた~い、ねぇ、ただ券ってパスポート?」

「うん、そうだよ」

「行く! え、いつにしようか? 私、来週の金曜日空いてるよ」

「あ、俺もその日休みだから、その日にしようか」

「うん!」

 仲のいいバイト友達の図という感じで、いい雰囲気だ。女の子は年下であっても、男にため口をきいており、距離を感じさせない会話をしている。ところが、これが、女の子は就職活動のためバイトをやめ、男も時給のいいバイトに鞍替えした、その2カ月後になると、大抵こうなる。


「あ、もしもし柊です! 久しぶり!」

「あ……こんにちは」←いきなり他人行儀

「あ、あの、元気?」←面食らう

「あ、はい。……元気です」

「あ、あのさぁ、今度、ディズニーランドに行かないかなぁと思って。い、いや、ほら、前に美紀ちゃん、行きたいって言ってたから」

「すいません、ちょっと就職活動で忙しいので……」

「そうかぁ……。あ、それだったら就職活動が終わったら行こうよ」

「すいません、友達と卒業旅行に行く約束をしているので、空いている日とかわからないし、ちょっと約束するのは無理です……」

「(空いている日がわからないのであれば、まず自分と遊びに行く予定を先に入れて、その日と重ならないように卒業旅行に行けばいいのでは……? と思いつつ)卒業旅行へ行くんだ、いいなぁ。俺なんて卒論が書き終わらなくてそんな暇ないよ」

「そうなんですか」

「うん。今も腰痛くて」

「大変ですね」

「……」

「……」

「あ、昨日、踊る大捜査線の映画観たんだ。すっげぇ面白かった」

「へぇ」

「……」

「……」

「えっと女の刑事、誰だっけ、あ、そうだ、深津絵里っていいよね」

「(鼻からため息)」

「……」

「……」

「あの、なんかごめんね、忙しいときに電話しちゃったみたいだね。じゃ、ばいばい!」←耐えられなくなった

はい。さようなら

ツーツーツーツーツーツーツー←電話切れた

 頷かれる男性の方も多いと思う。見ていて可哀想になってくるほど感情が噛み合わない会話である。最後も、男性は相手に対しても「ばいばい」と言って電話を切ってほしいと思っているのにかかわらず「さようなら」。
 いったい、なぜこのようになるのであろうか。
 敬語というのは間を置く言葉である。彼女にとって彼は確かに「よいバイト友達」であったが、共有する場が一つもなくなり、時間の経過とともに結びつきが薄れ、結果として知人になってしまったのだ。ただの知人に強い結びつきを求められたら敬語で突き放すというのが女性の自衛策なのであろう。
 まあ、彼もバイト在籍中に強く押していたら展開は変わった可能性もあっただろうが、一旦、こういう状況になるとまた親しくなるのはほとんど不可能だと思われる。

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