2014-5-13 Tuesday

BABYMETALが解決したもの -或る中年のBABYMETAL論-

 私は海外反応系のブログが昔から好きでよく読んでいる。海外反応系ブログとは、海外で日本人スポーツ選手が活躍したときや、メディアで日本の文化が紹介されたときに外国人がYouTubeのコメント欄やツイッターに投稿した文章を翻訳して紹介するブログのことだ。

 で、確か一昨年ぐらいだったと思うのだが、海外反応系ブログに「この三人組の日本人少女たちが歌うメタルは奇妙だ」という話題が出ていた。グルーブの名前は『BABYMETAL』で、曲は『ド・キ・ド・キ☆モーニング』。
 早速、YouTubeの動画を見てみたが、やりたいことはわかるけど、アイドルとメタルが思いっきり分離していて無理があると思った。というか、音は確かにメタルっぽいけど曲調はテクノっぽい。メタル版Perfumeみたいなのを目指しているのだろうか。

 それから一年ぐらいして、また海外反応系ブログで彼女たちが話題になっていた。今度の曲は『メギツネ』。
 やりたいことはわかるけど、外国人が興味を持ったのを知ったので和のテイストをメタルに取り込んでみましたみたいなのは、ちとあざとくないかと思った。

 そして、今年に入って三度海外反応系ブログで話題になっていた。今度は『ギミチョコ!!』。
 動画視聴三度目にして初めてBABYMETALの曲をいいと思った。アイドルとしてのパフォーマンスや歌詞、曲調とメタルの音がうまく混ざっているのだ。
 気になったので上記三曲以外にも聴いてみたら、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』と『紅月-アカツキ-』が私の心の琴線にバリバリ触れた。
『紅月-アカツキ-』は遊びのない正統派のメタルであり、ボーカルであるSU-METALの真っ直ぐ線を引くような歌唱、貫通力のある硬質な声が意外なほど噛み合っている。ただ、正統派過ぎて、BABYMETALというグループを表現したものとは言えない(そもそもSU-METALのソロで、YUIMETALとMOAMETALがいない)。
 よりすごいのは『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の方だ。こちらも曲は正統派であり、緩急のあるドラマティックな展開、ツインリードがスリリングな掛け合いを聴かせるギターソロなど、メタルとして評価出来る部分も多いが、そこにYUIMETALとMOAMETALの甘ったるい合いの手を入れることで、メタルとして圧倒的なオリジナリティを構築している。『ド・キ・ド・キ☆モーニング』では分離していた「アイドル」と「メタル」が溶け合って、曲を推進させているのだ。聴いていてかなり感動した。

 私はアイドルについてはあまり詳しくないので、BABYMETALがどのような目的、経緯で結成されたグループなのかはよくわからない。よって、これから書くことは見当違いかもれしないが、私が思うに、BABYMETALは日本語のメタルを聴く日本人のコンプレックスを解消出来る可能性があると思う。
 コンプレックスとはなにか。それは、外国(語)とメタルの組み合わせを見て(聴いて)いると、「日本」がメタルという音楽にいまいち合っているように思えないというものだ。
 ヘヴィメタルの世界観を海外からそのまま持ち込んで日本人が体現すると、似合っているとは言えない長髪姿で「おめえらあああ、いくぜえええええ」みたいになることが多い。歌も、攻撃的な日本語の音が必ずしも曲調に合うわけではないので、「なんか無理をしている」と感じるリスナーは少なくないだろう。

 BABYMETALは「アイドルが、青臭かったり、可愛いらしい詞をメタルに乗せて歌うという独自の世界観を構築することで、比べるものをなくしてしまう、あるいは比べる意味をなくしてしまう」という、日本人メタルファンのコンプレックス解決手段を敢然と提示した。
 メタルの本場である海外には、BABYMETALと同じコンセプトを持つグループはないし、『ギミチョコ!!』のようにチョコレートのことを歌った歌詞もない。そのため、海外のグループを“直訳”したような「かっこ悪さ」や「野暮ったさ」を感じることがない。これはかなりすごいことだ。

 ということで、すべての日本人メタルファンに、「BABYMETALは唯一無二の世界観を持つグループであり、なにかと比較するのは無意味だ、だからとりあえず『イジメ、ダメ、ゼッタイ』を聴け」と無理矢理推すつもりはないが、日本人として、歌詞、世界観を海外のグループのものと比較する必要はないのは楽であり、聴かず嫌いはもったいないよとだけは伝えたい。

 最後にプログレファンとして一言書かせていただくと、BABYMETALを見て四の五の言えるメタルファンは恵まれている。プログレではあり得ない。プログレとアイドルを組み合わせるという提案が採用される余地も余力もない。ついでに言えば提案する人もいないだろう。

posted by kudok @   | Permalink

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